【幻想の宮様コース】


幻想感あふれるブナの森

【日 程】2015年05月17日(日)
【山 域】鳥海山
【山 名】滝ノ小屋(1280m)
【天 候】濃霧
【メンバ】2人
【コース】宮様コースにて滝ノ小屋まで往復
(概 略)


車道終点(8:25)---(10:40)滝ノ小屋(11:25)---(12:38)車道終点



庄内地方の水田が緑に溢れ、蛙の合唱が賑やかな夜は心地良い安らぎを覚える。
暫く山遊びは御法度だったので、もぞもぞしていたら岳友が背中を押してくれたのを幸いに出掛けた。早朝はまだお山の姿は見えなかったが、予報では確実にピーカンなので近所のコンビニで食料を仕入れ湯の台口へ車を飛ばす。道中まだ田植えの終わってない田んぼもチラホラ、山間部ゆえ仕方ないのかも知れないが、それでも例年より早い田植えなのだろう。

事前の情報では、荒木橋の少し手前まで車で入れるとのことだったので、あまり気を遣わずに霧で視界のはっきりしない中、山岳道のドライブを楽しむ。牧場の辺りでは山菜採りの車があちこち勝手気ままに駐車してある。誰かさんもいるかも知れない。
終点にはすでに数台の車が駐まっている。山形ナンバーの人達がスキーをザックに取り付け出発の準備中だ。挨拶しながら外に出ると風が冷たく寒い。こちらもカッパを着込み完全武装で出発、歩き始めてすぐに荒木橋に着いた。

テレマーカーの集団は車道をそのまま登っていったようだが、我々はここから尾根に取り付く。雪はかろうじて繋がっているようだが、実際はあちこち切れており笹の枝に足を上げた瞬間ツルリと滑り大転倒、相方が目を丸くしている。
少しばかりの急登を終えると尾根に乗る。周りの景色は霧にむせぶ本当に幻想的なブナ林だ。残雪と新緑の間に漂う霧は時折ハッとするような雰囲気を醸す。

久しぶりの残雪歩きは周りの雰囲気も良くとても楽しい。けれども視界が時折効かなくなるのでルーファイには注意が必要だ。もっともここは迷ったとしても何処にも行きようがないのだが…
真冬の宮様コースを訪れたのは何年前だろう。考えてみるとこの季節に訪れたことはないと思う。以前は全てスキーだったのでツボ足で散策するのは初めて、これはこれでなかなか良い感じだ。
新緑の写真を狙ったが完全に露光不足、あの燃え上がるような緑の洪水は表現できない。けれどもこの幻想感溢れる景色はそうそう狙っても見られないと思う。
時折雲が切れ景色が現れることもあったが、基本的に視界はまったく効かない散策だった。
第二斜面、第三斜面ともコース上の雪は既に消えたところもあり、雪を拾って迂回するがこれもまた楽しい。


緑が萌え始める

新緑が切れ滝ノ小屋が近くなると斜度も少しきつくなる。ブナの木立もなくなり冷たい風もがまともに吹き付けてくる。動きを止めると途端に寒さが増し手もかじかんでくる。まるっきり冬山じゃないか?
早く小屋に着きたいのだが視界が悪く何も見えない。完全にホワイトアウトだ。
それでも大体の感覚で小屋が近いことは分かるのだが、雪渓を直登していたので多分左側に夏道があるはず、探しながら登っていたのだが見落としてしまったようで再び斜度が増してきた。
こりゃあかんわ…(汗)

相方も寒そうなので取りあえずツェルトを引っ被り休憩する。しかし風が強くて中でお湯を沸かすのも困難な状態だ。このまま上に行っても何にも良いことは無いのが明白なので180°ターンして下る。下り始めてすぐに右側に夏道らしき道形を見つけた。すぐに小屋に向かう。
小屋には誰もいなかった。靴を脱いで中に入って休憩するのが億劫で、上がり框に腰を下ろしすぐにお湯を沸かす。昼には少し早かったが昼食休憩とする。暖かいカップ麺を啜り込む内に体も徐々に温まってきた。テレマーカー達でも来るかなと思っていたが、結局誰も来なかった。この天気じゃスキーどころじゃないし皆下ったのだろう。



波のようなブナ


暖かいコーヒーを飲んでいる内に少しでも天候が回復するようなら、まだ遊び足りない気もしていたのだが、そんな気配は微塵もなく速攻下山を決める。帰りは車道でも下ろうと思っていたが、何か遠回りするようで嫌になり往路を下ることにしたのはいいが、視界と寒風はますますひどくなり足早となる。情報通りこのコースは今週が最後だろう。
車道に出る直前に今度は雪から少しだけ出ている横枝に蹴躓き思いっきり転倒、弁慶の泣き所をしこたま強打する。
ゆりんこの湯が傷に滲みた。

やれやれ



ブナの芽吹き